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月別アーカイブ: 2025年4月

株式会社翔設工業の雑学講座10

皆さんこんにちは!
株式会社翔設工業、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~設計~

ということで、配管工事における設計の考え方・実務プロセス・技術的検討事項を、段階ごとに詳しく解説します。

 

配管設計は、建物や設備の「血管」を設計するようなものです。
水、空気、ガス、蒸気、薬品、排水など、多種多様な流体が、限られた空間と制約の中で、安全かつ効率的に流れるよう設計される必要があります。

設計が不適切であれば、施工時のトラブルや、稼働後の漏れ・詰まり・圧力損失・維持管理の困難化など、重大な問題に発展することもあります。


🧭 1. 配管設計の基本的な役割とは?

配管設計は、単に「配管を描く」作業ではありません。設計者には、以下のような責任と視点が求められます

  • 流体の性質を理解した材料・口径・勾配の選定

  • 建築・設備・構造との調和

  • 施工性・保守性・経済性のバランス

  • 安全性(圧力、温度、漏れ、耐震など)への配慮

  • 将来の増設・点検・交換への準備


📐 2. 配管設計のプロセスと設計フロー

① 要求仕様の整理

  • 使用流体(温度、圧力、腐食性、粘性)

  • 必要流量と使用量の変動

  • 設置場所の条件(屋内/屋外、地中/天井裏、高所/狭所)

② システム設計(系統図・フロー図の作成)

  • P&ID(配管計装図)や系統図を作成し、バルブ・ポンプ・装置の相関を整理

  • 制御弁、逆止弁、圧力計、流量計などの配置も検討

③ 配管ルート設計(レイアウト)

  • 平面・立面・断面での経路設計

  • 他設備(ダクト・電気・構造部材)との干渉回避

  • メンテナンス・点検口の配置とスペース確保

  • 燃料配管や高温・高圧配管では避難動線との分離設計

④ 材料・口径・勾配の決定

  • 管種(鋼管、ステンレス、塩ビ、ポリエチレンなど)

  • 継手の種類(ねじ込み、溶接、フランジ、融着)

  • 勾配設計(排水は1/100〜1/50、空気は0勾配でもOK)

⑤ 給排水・通気・ドレン・空気抜きの設計

  • 排水は自然流下、サイフォン防止と通気のバランスが重要

  • 凍結対策、サーマルリリーフ(温度上昇による圧力逃がし)


🔧 3. 技術的検討事項(設計者が見落としてはいけないポイント)

◯ 圧力損失と配管抵抗

  • 長い経路や曲がりの多さが圧損を増加 → ポンプ選定に影響

  • 流量、管内径、粘度からDarcy-Weisbach式やHazen-Williams式で圧損計算

◯ 熱膨張と支持設計

  • 温度差による配管の伸縮(特に金属配管)は、破損の原因に

  • スライド支持、フレキシブル継手、U字型の膨張ループを設計に反映

◯ 振動・騒音対策

  • コンプレッサーやポンプの近くでは、防振支持・ダンパー設計

  • 長距離配管では共振や管鳴きにも注意

◯ 保温・防露・断熱の設計

  • 冷水配管は結露による腐食やカビの原因に

  • 熱湯や蒸気配管は断熱材・保温材の選定が重要(グラスウール、ロックウール等)


📊 4. 法規・基準・安全設計の対応

配管設計には、多くの法令・基準類への適合が求められます。

主な関連法令・規格

法令/規格 対象内容
建築基準法 排水、貫通部、防火区画の処理など
労働安全衛生法 高圧ガス配管、溶接施工時の管理
高圧ガス保安法 圧力・容器との接続、検査義務
消防法 可燃性ガス・危険物の配管
JIS / ASTM / ASME 材質、継手形状、試験方法など

🛠 5. 保守・更新・将来拡張を見据えた設計

設計段階で、更新・メンテナンス・緊急時対応まで見越しておくことが重要です。

◯ 具体的なポイント

  • バルブは人の手が届く位置に

  • フランジ継手で一部配管を容易に分解・交換可能に

  • 保守のための点検口・配管識別表示・流体方向表示

📌 最近では、BIM設計や配管デジタル台帳の整備によって、保守情報も設計に含める動きが主流になりつつあります。


✅配管設計は「見えない品質」を築く最前線

配管は、建物が建っても、機械が並んでも、その内部を支えるインフラの神経系です。
適切な設計があってこそ、安全で快適、そして維持しやすい環境が実現します。


🔍 設計者が押さえるべき5つの鉄則

  1. 流体と使用環境に応じた管種・継手・口径の選定

  2. 他設備との干渉回避と点検性・作業性の確保

  3. 圧損・熱伸縮・振動など物理現象への配慮

  4. 法令・規格への適合設計

  5. 保守・更新・拡張を考慮した柔軟なレイアウト

 

 

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株式会社翔設工業の雑学講座9

皆さんこんにちは!
株式会社翔設工業、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~確認事項~

ということで、配管工事に入る前に押さえておくべき事前確認事項を、プロの視点で5つのステップに分けて深く解説します。

 

配管工事は、建物や設備の「血管」にあたる重要なインフラ整備です。
空気・水・蒸気・ガス・油など、さまざまな媒体が「管」という限られた空間を通じて流れるため、施工前の綿密な確認と計画が欠かせません

工事中のトラブルや、引渡し後の漏水・圧力損失などの不具合を防ぐには、事前の確認こそが品質と安全のカギを握ります。


🧭 1. 配管ルートと設計図の整合性確認

◯ 設計図面との突合チェック

  • 平面図、立面図、断面図、配管系統図(P&ID)をすべて確認

  • 他設備(電気配線、ダクト、構造物)との干渉チェック

  • 見えない配管(床下・天井裏)の通管可能性

📌 3D CAD(BIM)による干渉解析が非常に有効。
特に改修工事やリノベーションでは、既設配管図との整合性が最重要ポイントです。


🔧 2. 使用材料・部材の仕様確認

◯ 管種・継手・バルブの選定

  • 使用する流体(冷温水、空気、油、薬品など)と材質の適合性

    • 例:ステンレス vs 鋼管 vs 塩ビ vs SUS304/SUS316

  • 圧力・温度条件に対して耐圧・耐熱性が適切か?

  • 継手の種類(ねじ込み、溶接、フランジ、ソケット)に施工環境との適合性

◯ 材料証明(ミルシート)の確認

  • 高圧・特殊流体系では、材料証明や認証取得(JIS、ASTM)が必要なケースも

  • 異種金属の接触による電蝕防止(絶縁継手等)も忘れずに確認


🧰 3. 現場環境と施工条件の確認

◯ 作業スペースと施工方法

  • 配管経路に対して十分な作業空間(取り回し・溶接作業・工具の使用)があるか?

  • 壁・天井貫通部のコア抜き・防火区画貫通処理の要否

  • 仮設足場や昇降設備の設置計画

◯ 搬入・保管の環境

  • 長尺パイプや重量継手の現場搬入経路と保管スペースの確保

  • 材料が直射日光・雨水・塩害などの影響を受けない環境整備

📌 狭所・高所・高温環境での施工は、作業員の安全管理体制や施工手順の最適化が必要不可欠です。


🛑 4. 安全対策と施工体制の確認

◯ 作業内容に応じた安全計画

  • 溶接作業時の火気使用届・防火管理者の選任

  • 高所作業・クレーン作業時の資格者の配置

  • 作業エリアの立入禁止措置と表示義務

◯ 作業手順書・リスクアセスメント

  • 施工内容に応じた手順書(施工フロー)とKY活動

  • 初めての現場では試験施工(トライアル施工)の導入も有効

◯ 資材・工具の管理

  • 酸素・アセチレン、溶接機などの機器校正・使用期限

  • 絶縁工具や検電器などの電気・ガス配管向け工具の準備


📋 5. 試験・検査と引き渡し条件の確認

◯ 水圧試験・気密試験

  • 設計圧力の1.5倍程度を目安に加圧し、漏れ・圧力降下の有無を確認

  • 試験方法、圧力保持時間、合否判定基準を施工前に文書化

  • 記録表・試験報告書のフォーマット確認

◯ フラッシング・洗浄

  • 油圧・冷却水系などは、系統洗浄・異物除去が必要

  • 洗浄方法(水洗・化学洗浄・エアブロー)と排水先の処理確認

◯ 検査・引渡し前の最終確認

  • サポート金具の緩み・断熱材の取り忘れ・開閉バルブのチェック

  • 表示(系統名、方向、圧力)の明示

  • 施工記録、試験結果、写真台帳の整備と引渡し書類の準備


✅ 配管工事は「目に見えない品質」を守る技術

配管工事は、完成後に隠れてしまう工程が多いため、「見える段階」での確認がすべてです。
施工不良による漏れ・詰まり・腐食などの不具合は、後戻りが困難かつコスト・安全面に甚大な影響を及ぼします。


📝 配管工事の事前確認チェックリス

分類 確認項目
設計図 配管ルート、系統図、干渉チェック
材料 管種、継手、材質証明
現場 作業スペース、搬入経路、保管環境
安全 資格者、火気届、リスク評価
試験 気密試験、水圧試験、洗浄、引渡し

 

 

 

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