
皆さんこんにちは!
株式会社翔設工業、更新担当の中西です。
1. なぜ“読む”ではなく“つなぐ”なのか 🧩
図面は単体で正しくても、他図面と矛盾すれば現場は止まります。意匠(A)・構造(S)・設備(M/E/P/I)・P&ID・機器据付要領・メーカー図・仮設計画・工程表——これらを時系列で接続して初めて「施工可能な情報」になります。通り芯(X/Y)とレベル(Z)で全てを座標化し、優先度(構造>設備>仕上)を明記した上で、干渉判定と設計変更の責任分界を初期に確定させます。🧭
2. 基本の図面セットと役割 📚
• P&ID:配管・計装の機能図。弁記号、計装ループ、洗浄/ベント/ドレンの哲学が詰まる。
• 平面/断面/天伏図:ルーティング・勾配・レベル差・機器スペースを読む主戦場。
• 詳細図/支持図:エルボ位置、継手回転、支持ピッチ、膨張吸収の具体。
• 機器据付図:口径・フランジ規格・ノズル方位・基礎高さ・保守スペース。
• 電気/計装図:電源容量・ケーブルルート・I/O点数・インタロック。
• 仕上表:貫通部処理、防火・防水仕様、仕上前後の手順。🧱
3. 読解ステップ:赤ペン3層マーキング ✍️🖍️
1) 一次マーキング:主要機器・ルート・高低差・躯体貫通を赤、換気・排煙を橙、電気を青。
2) 二次マーキング:干渉候補(梁・ダクト・ケーブルラック・配管同士)に雲マーク、優先順位を番号付け。
3) 三次マーキング:試験弁・ドレン・ベント・点検口・仮設口・バイパスを明示し、試験と洗浄の動線を完成させる。 この3層で施工時の詰まりが見える化され、材料発注・プレハブ化の基礎が固まります。📑
4. レベルと勾配:1mmの嘘が現場を止める 📏
排水・ドレン系は1/100〜1/50の勾配管理、冷媒やガスは水平度と立上りが命。梁下・吊天井・機器架台のレベル基準を統一し、貫通スリーブ位置は仕上前にFIX。勾配は始端→末端で逆算し、通気・ベントを同時に設計。勾配が取り切れない区間は、局所的にポンプアップやサイフォン対策で解決します。🧰
5. 躯体貫通と防火:設計段階で勝負 🔥
梁・耐震壁・主要スラブは貫通制限が厳格。C種/RCW/ケーブル等の防火区画を読み、貫通スリーブの径・位置・数量・工順を前倒し申請。施工後のコーキングではなく、耐火措置の認定工法を準備し、写真+ラベルで証跡化します。📸
6. BIM/点群で“見える化” 🖥️
改修や大型案件では点群スキャンで既存を3D化、BIM(Revit等)で干渉・保守空間・施工順序を可視化。断熱厚み・吊り金物・ボルト長まで入れ、スプール分割と先行ユニット化で現場時間を短縮。座標付き加工図を工場へ渡すのがコツ。🧱
7. 検討会の運営術:1時間で決め切る 🕑
• 事前にアジェンダと承認事項を明記、未決は“誰がいつまで”をRedmine等で管理。
• 干渉箇所は3案(上越・下越・折返)を提示、コスト・工期・維持の三面で比較。
• 写真/3D/動画で共有、現場巡回→即結論の流れで“検討を作業化”する。📽️
8. 検図チェックリスト ✅
• 図番整合(P&ID/平面/断面/機器/電気)
• レベル基準・勾配・吊りピッチ・膨張余裕
• 貫通スリーブ・防火区画・防水納まり
• 試験弁・ベント・ドレン・洗浄経路
• 保守空間・更新スペース・バルブ操作性
• 表示・塗色・タグ番号・矢印方向
• 材料・規格・ロット・検査要件
• プレハブ/スプール分割・搬入経路🚚
9. ケース:機械室での“100mm不足”を救う 💡
配管・ダクト・ラックが集中する機械室で100mmのクリアランス不足。BIMで干渉を洗い出し、配管をフランジ1面分(19mm)シフト、支持金物をチャンネルからC形鋼に変更、断熱を部位限定で薄肉化。弁ハンドル回転を考慮し、点検口も移設。コスト増を3万円に抑え、保守性UPを両立。🧮
10. まとめ ✍️
図面読解は座標化・時系列化・責任分界の三点セット。BIM/点群・写真・加工図を連動させ、“見る”より“決める”会議運営で手戻りを根絶します。次回は配管材料の選定と使い分けを徹底解説します。🔍
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皆さんこんにちは!
株式会社翔設工業、更新担当の中西です。
1. 配管が“見えないインフラ”である理由 🏗️
建物も工場も、配管がなければ生命線である「水・熱・空気・ガス」が流れません。意匠が美しくても、構造が強固でも、流体が安全に、必要な時に、必要な量と圧力で届く仕組みが整っていなければ、建物は機能しないのです。配管設備工事は、見えない場所で建物の価値を底上げする性能工事。完成後に見えなくなるからこそ、施工中の可視化・記録・検査が品質の鍵を握ります。🗝️
2. 対象分野の広さ:建築とプラントの“橋渡し” 🌉
配管は、給排水・空調・消火・ガス・ろ過・純水・薬液・蒸気・冷媒など多岐にわたります。建築設備では衛生・空調・電気と連携し、プラントでは機械・計装・電気と一体で動きます。図面は意匠(A)・構造(S)・設備(M/E/P/I)が重なり、P&ID、レイアウト、スプール図、はしご詳細、サポート図、バルブリスト、ラインリスト、ITP(検査計画)まで紐づきます。誰がどの情報で何を確定し、いつ施工可能かを時系列で整理する習慣が、段取りを劇的にラクにします。⏱️
3. 現場フロー:段取り八分がすべて 🧩
1) 仕様・図面レビュー → 2) 現地踏査(既存確認)→ 3) 施工計画(工程・仮設・安全)→ 4) プレハブ/加工計画 → 5) 墨出し・インサート → 6) 配管・支持・継手 → 7) 試験(耐圧・気密)→ 8) 断熱・防食 → 9) 機器接続・計装 → 10) 試運転・引渡し。各工程で証跡(写真・寸法・ロット・成績書)を残し、チェクリストで「作業→検査→是正→再検」を回すのが王道。📑✅
4. 品質の要点:Q(品質)C(コスト)D(工期)S(安全)E(環境)🧭
• 品質:勾配・通気・支持ピッチ・熱膨張吸収・ドレン処理・清掃性・更新性。
• コスト:ルーティング短縮、継手種別最適化、プレハブ化、共通架台化。
• 工期:BIM調整、先行加工、仮設計画、日程クリティカルパス管理。
• 安全:酸欠・火気・高所・クレーン・化学物質・圧力開放ルールの徹底。
• 環境:漏水・漏洩ゼロ、廃材分別、省エネ運用、保温厚さの適正化。🌱
5. 主要材料の超概説 🧪
• 鋼管(SGP, STPG 等):強度◎。ねじ/溶接。腐食対策は亜鉛めっき・塗装・ライニング。
• ステンレス(SUS304/316):耐食◎。溶接/機械継手。塩素・海風環境での材質選定注意。
• 銅管:ろう付け・フレア。冷媒/給湯に好相性。脱亜鉛腐食・流速騒音の配慮。
• 樹脂(VP/HTVP/PP/PE/架橋PE, PVDF 等):軽量・耐薬品・施工性。耐熱圧力・線膨張に注意。
• 継手:ねじ・フランジ・溶接・溶着・圧着・拡管・差し込み。用途と圧力で使い分け。🔩
6. ルーティングの思考法 🧠
最短より最適。点検・更新・洗浄・排気/ドレン・膨張吸収・耐震クリアランス・他設備との干渉を満たす「一生分の合理性」を設計段階で埋め込みます。勾配系は始端→末端の逆算、圧力系はポンプ→末端の圧損設計、冷媒は液柱/オイル戻り、ガスは換気・漏洩検知まで。現場では通り芯・レベル・壁芯で座標化し、吊り金物の共通化で手戻りを削減。📏
7. 試験・洗浄・引渡し 🔬
水圧/気密試験はバルブ閉鎖位置・計器校正・温度補正・保持時間を明確に。洗浄・フラッシングは流速・時間・濁度を管理、必要に応じ薬洗やパスボックス。識別表示・回転方向・弁番号・計装レンジを台帳化し、写真+図番で電子納品。ユーザー教育(OH)まで行い、初期不具合ゼロを狙います。🏁
8. ケーススタディ:雑居ビルの給湯・排水改修 ♻️
• 制約:夜間作業・臭気対策・営業継続・既存図なし。
• 方針:昼間に配管スプールを工場で先行製作、夜間に切替。負圧発生を想定し仮通気を設ける。臭気拡散は負圧隔離+活性炭。
• 成果:切替停止を4時間以内に短縮、クレームゼロ、漏れゼロ。🕓
9. あるある不具合と未然防止 🧯
• 排水のサイホン切れ→機器直近に通気、水封深さ確保、長期停止時は封水剤。
• 水撃→立上り直後にアレスター、配管固定を強化、バルブ開閉速度を制御。
• 冷媒オイル戻り不良→立上りにオイルトラップ、配管径/流速の再検討。
• 熱膨張の亀裂→エキスパンションループとスライドサポート、アンカー位置最適化。
10. 今日から使えるチェックリスト ✅
• 仕様・図面整合(A/S/M/P&ID/機器表)
• 材料証明・ロット・検査成績書取得
• 墨出し(通り芯/レベル/クリアランス)
• 支持金物の荷重計算と防振要否
• 勾配・通気・ドレン・膨張余裕
• 耐圧/気密の試験計画(計器・温補)
• 断熱・識別表示・弁番号・回転方向
• 写真管理(部位/図番/寸法入り)
• 引渡し書類(取説・台帳・教育)🗂️
まとめ ✍️
配管は見えないほど品質が問われる工事。段取り、可視化、検査の三本柱で「性能をつくる施工」を徹底すれば、引渡し後の評価は必ず上がります。次回は図面読解の極意を深掘りし、干渉ゼロのルーティングに繋げます。📐✨
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